“溺 れ る女”に私はなれない

「溺れる女」という作品を読んだ。
初めての作家さんだ。

手に取ったきっかけは、帯に書かれている

・結局ダメンズに惹かれる
・貢ぎ癖がある
・過去の恋愛を引きずる
このどれかでも引っかかればあなたも!!

みたいな文句に、ドキッとしてしまったから。

もともとダメンズに惹かれるタイプではなかった。

しかし私は中村海人くんに出会ってしまい
ダメンズに惹かれる人の気持ちというものを知ってしまっていた。
(厳密に言うと中村海人くんはまったくダメンズではないけど)

そして貢ぎ癖。

これは前々から結構あるなって思っていた。
貢ぐ相手はアイドルだけども!!!!!!!!(痛)

そして割と引きずるタイプ

・・・・私って溺れる要素あるんだ・・・・っていう気持ちもあり。

でも一番は

この溺れさせる男の役、中村海人くんが出来そうだったらいいな。


っていう。
こういう役をやってほしいんだ!!!みたいな人物が出てたらいいなって。
そもそもそんな基準で本を選び始めてる時点で色々ヤバイ。

※小説の内容書きます。ネタバレしかしてないです。

結論から言ってしまうと、
中村海人くんを脳内キャスティングするのが憚られるほど
性的表現が多くて(笑)

ストーリーは、生真面目で優等生だった平子奈々が所属していた文芸サークルに
慎之介という美形の男の子が入部。
女だらけのサークルだったから一躍人気者になった慎之介だったけど、
真面目に議論していた会も慎之介のせいでだらけた空気になってしまい
奈々はあんまり好きになれずにいた。
のに、ある日突然「付き合ってください」と言われて、しかもなんかその顔がかわいすぎて
思わず了承したところから人生が変わっちゃった。みたいな話。

まず、文芸サークルに入ってきて告白する辺りまでは予想通りというか
アイドルのような美形、とか人懐こい感じとか
中村海人氏で想像できるできる~~!!となってたんだけど
まず、身長180センチっていう設定で・・・おっと。。。
これ・・・もしかしてめめ(目黒蓮)の方だったか!?
まぁ確かに目黒君でもいける・・・けどここは中村海人くんで!!
身長は足りてないかもしれないけどスタイルはいいし、
真面目な空気をだらけさせてしまう説得力は負けないはず!!うん!!

でも慎之介(間違えて慎太郎って書いてる時がありそう)のあまりの変態性に
これは中村海人くんで想像するのは申し訳ないな、と早々に断念したのでした。
ジャンルはホラーってなってたけど(購入時気付かず)これはどちらかというとポルノ・・・
官能小説に近かったなぁ^^;
涼しい顔で会社や電車で読んでたけど、ちょっともし一部分でもちらっと盗み読みされたら
とんだ変態野郎と思われたことでしょう、見られていませんように。

性的表現(っていうか性行為の描写)がある小説はたくさんあるけど
それが小説というよりも官能小説じゃん、と思わせてしまう所以はなんだろうなぁと考えた結果
個人的には喘ぎ声の描写かな、と思いました。
(これ“かんのう”って入力して完納じゃなくて官能って出るようになってたらやばいから気を付けないと)

行為の描写の仕方とかにもよるんだろうけど、
「あっ!!だめ!!」とかそういうセリフが多くて、そこが少し気恥ずかしかったというか
陳腐だなぁ、と感じてしまったので。

こういう描写で思い出したけど、
先日はじめて村上春樹作品を読みました。「騎士団長殺し」。
(これも、webで中村海人くんが読んでる・・・・の?みたいな書き方をしてたから気になってたところに
妹の職場の方が貸してくださったので読んでみたっていう・・・きっかけはいつも中村海人か!※北斗くん担)

身構えていたよりはずっと読みやすかったんだけど、
一部出てきた性行為の描写に「村上春樹の文章ってあんまりエロくないんだな・・・」と思っていたら
「彼は淡々とその様子は話し始めて」っていう流れがあって
あ・・・!!わざとエロくないような描写をしてたんだ!!!って分かった時は
小説家ってすごいなぁと思いました(小並感)

すごいと思ったのは、筒井康隆さんの「残像に口紅を
どんどん使える文字が減っていくという制約のなか、なかなかエロティックな場面を
それはもう巧みに描写されていまして。
性行為も描写によっては芸術になりえるんですね。

っていうかそもそもポルノとか官能小説を読んだことがないので
そういう風な表現が正しいのかも微妙だけど、読書メーターでも似たようなコメントが多く見受けられたので
大きく間違えてはいないかと。
(あいみょんが読んでるって言ってたし、作品としてちゃんとしているんだろうから
小説<官能小説 と思ってはいないです。)

そう、で、とりあえずそういう描写が多くて、これ必要か?って思う部分もあり。

結局慎之介に色々貢いじゃって、お金が足りなくなってきた主人公の奈々は
学生時代はキャバクラで働き、働きすぎて学業がおろそかになって
目指してた弁護士事務所とかの仕事に就けなくて落ち込んで
事務仕事はじめるけどそれだけのお給料じゃやっていけないからキャバクラも続けてて。

一方慎之介はちゃらんぽらんなくせになぜか大手の薬品メーカーに就職が決まって
半年大阪の寮で研修を受けることに。
毎週名古屋で会うんだけど、その交通費も全部奈々が出す。
それでも一緒になる日のために働いてきた奈々だったけど、なんと慎之介の研修が終わり
まさかの本社勤務が決まった、という報告と共に聞いた言葉が
「別の子と結婚することになったから別れよう」

そりゃないよ!!と思いつつちゃんとした生活にもどった奈々は4年の時を経て
デブでモテたことがない男性にアプローチされて結婚を決めるんだけど
二人で街を歩いてるときに、慎之介と再会!!!
再開するやいなや、慎之介は奥さんと別れた、やっぱり奈々ちゃんがいい!とか言い出して
拒む奈々に駄々をこねて会う約束をしては、あいつとは別れて僕のお嫁さんになって!を繰り返して
とうとう奈々は婚約破棄してしまうんですね。

こういう、駄々をこねる感じをやる中村海人くんはちょっと見たいです。
お願いされたら断れない、そんな感じやってもらいたい。


最後まで話してしまうと、婚約破棄して慎之介と一緒になることを決めた奈々には
相手への慰謝料と、慎之介の慰謝料と養育費という大きな借金が出来てしまい
これを返すためにとうとう売春に手を出します。

最初はあまりの屈辱感に、一度でやめようとした奈々も
一度に手にした金額の大きさに売春を続けることを決めます。

そして、大金をもらえる代わりにあまり評判のよくないお客 林田のところに出向き
散々な仕打ちをうけ、それでも慎之介と暮らすためなら!!!
と耐え抜いた奈々を待っていたのは、
「元妻と再婚することにしたから」という慎之介の一言。
そして・・・・・


っていうお話でした。
この林田のところの描写がまぁ結構長い事続くししんどくて生々しくて
気持ち悪くなるし、もう本当に辛くて。
でもその辛さってきっと奈々が受けたしんどさの足元にも及ばないんですね。
だからここの描写はきっと必要だったのかな、とは思います。
(やっぱり喘ぎ声とかを言葉にされると冷めちゃう部分はあるんだけど)

奈々がキャバクラで働いていたことは、慎之介は知っていて
大変な思いをさせてごめんね、みたいな態度でした。
でも売春していたことは、知っていたのか・・・多分気付いてた部分もあるんだろうけど
そこははっきり明記されていませんでした。
これ、知ってたら再婚なんて考えなかっただろうか。それとも知って、考えたんだろうか。

この慎之介のくずっぷりが、天然なのか計算なのかもちょっと気になるところで。
奈々に告白をしたのは本心だったのかがまず気になる。
女を堕とすゲームでもしててほしい、いっそ。
根っからの甘えちゃう体質だから、年上で雰囲気のある奈々に惹かれたのも本当だし、
お嬢様だった奥さんとはうまくいかなかったんだろうけど・・・・

でも、もうこんなくず見捨てればいいのに!!!と、どうしても思えなかった自分は
やっぱり溺れる女素質があるんだろうか。
だってさ、かわいい顔した男の子が自分に甘えてくれるって
優越感なのかな、きっとたまらないんだろうな。
私が支えてあげないと・・・!!!ってなる気持ち。ああ怖いね怖い。
そして、性の快楽というのも捨てがたいものなんでしょうね。
結婚を予定してた男性は、あまりそっちがよくなかった。
これから永遠ずっとこの男性のみ、と思ったときに
過去の快楽を思い出してしまって、その人と再会して
やり直そうって言われて、そしたらまたあの時の・・・・って思ったときに
良くない方を選ぶのはなかなかに難しい。
人としての体裁と、その時の自分の感情と、幸せと。

ラージャンルというならば、婚約破棄した男性が自殺して
その亡霊がとりついて・・・っていうのはさすがに安っぽいけど
売春してる流れでもう一度くらい出てきてゾッとするかと思いきや、そのままフェードアウトでしたね。
幸せになってもらいたいです。

そしてこの作品を読んで思ったこと。
私は溺れる女になる素質は持ってるけど、溺れる女にはなれないんだろうな、っていう事。
自分は真面目だから、素質はあっても実際こういう男には騙されない、と思ってるわけじゃなくて
計算でも天然でも、貢ぎたくなるような男性に惹かれる女性もやっぱりある程度は魅力的じゃないと
そもそもその男性にすら声かけられないんじゃないか、っていうところで。
奈々が堕ちたきっかけは、やっぱり水商売に手を出してしまったことじゃないかと。
そこである程度稼げてしまったから、もう一つ深いところに行ってしまったんじゃないかと。
私は貢ぎたい気持ちはあっても、お金への執着も割とあるから貯金が無くなるのはやっぱり怖いし
水商売で働ける素質が無いから、無理だなって。
だって万が一水商売に手を出した(っていったら実際に働いている方に失礼かな。すごい仕事だと思ってます)
ところで、魅力がなくてお客さんつかなかったら稼げないでしょう。
売春も同じで、誰でも出来る仕事ではないと思うんだよね。人として、とかじゃなくて
やっぱり技術とか才能が必要なお仕事だと思ったんです。
もし文無しになったら、いざというとき女性は体を使える。と思っていたけど
魅力がない人間はきっとお金にもならないんでしょう。
度胸も無いしね。
そして、その切り札(っていう言い方も悪いけど)を使える自信がないから
文無しになるのも怖いから、貢ぎたい気持ちはあってもどこかで理性とかが働いてそこまでいかないかなーって。

・・・奈々もきっとそう思ってたんだろうから
素質がある時点で危ない部分はあるんだろうけど。
ああそっか、だから私はダメンズには引っかからない(引っかけてももらえない)けど
一方的に好きになって貢げるシステムのアイドルには弱いんだなーーそうかー納得!
きっと行く機会もないし、行ったところで人見知り発揮するだろうし、
そんなにタイプの人がいると思えないから大丈夫とは思っていても
ホストクラブは絶対私には向いてないからどんなに誘惑されても行かないようにしようと思います。

溺れる女の実写化は実現不可能と思われますが
これくらいの、女をだめにしちゃうボーイな海くんを
いつか絶対に見たい!!!!!!